「自分では丁寧に話しているつもりなのに、なぜか相手の反応が芳しくない……」そんな経験はありませんか?
実は、良かれと思って使っている敬語が、文法的に間違っていたり、相手に不快感を与えたりしているケースは少なくありません。
本記事では、現代のビジネスシーンで特に間違いやすい「惜しい敬語」を10個厳選し、正しい言い換えとともに解説します。
最も多い罠「二重敬語」を回避する
一つの言葉に同じ種類の敬語を重ねてしまう「二重敬語」は、過剰でくどい印象を与えます。
NG:「社長がおっしゃられました」
OK:「社長がおっしゃいました」
⇒「おっしゃる(尊敬語)」に「れる(尊敬語)」を重ねるのは不要です。
NG:「資料をご覧になられましたか?」
OK:「資料はご覧になりましたか?」
⇒「ご覧になる」だけで十分な敬語です。
【ポイント】
二重敬語は、自信がない時ほど「もっと丁寧に」と焦って使ってしまいがちです。「シンプルこそが美しい」という意識を持ちましょう。
「させていただく」の多用はNG?
近年、何にでも「~させていただきます」をつける人が増えていますが、これは本来「相手の許可を得て、自分が恩恵を受ける」場合に使う言葉です。
不自然な例
「本日休ませていただきます」
⇒ 既に許可を得ている場合や、一方的な宣言に聞こえる場合があります。
適切な例
「本日はお休みを頂戴いたします」または「休ませていただきます(事前に許可を得ている場合)」
【ポイント】
「させていただきます」は非常に便利な言葉ですが、多用すると「責任を回避している」ように聞こえることもあります。「いたします」と言い換えられないか、一度検討してみるのがコツです。
「お名前を頂戴できますか」の違和感
受付などでよく聞くフレーズですが、実は言葉の使い方が少しズレています。
NG:「お名前を頂戴できますか?」
OK:「お名前を伺ってもよろしいでしょうか?」
⇒「頂戴する」は物をもらう時に使う言葉です。名前は物ではないため、「伺う」や「お教えいただく」が適切です。名刺をもらう時は「頂戴いたします」で正解です。
「ご苦労様です」と「お疲れ様です」
これは基本中の基本ですが、今一度確認しておきましょう。
目上の人へ:「お疲れ様です」
目下の人へ:「ご苦労様です」
【ポイント】
上司に対して「ご苦労様です」と言うのは、相手を労う(評価する)立場に回ることになるため、非常に失礼にあたります。社外の人に対しては、どちらも使わず「お世話になっております」とするのが無難です。
「了解いたしました」は失礼?
同僚や部下には問題ありませんが、上司や顧客には避けるべき表現です。
NG:「了解いたしました」
OK:「承知いたしました」「かしこまりました」
⇒「了解」には「許可する」というニュアンスが含まれるため、敬語としては不十分です。
「なるほどですね」の落とし穴
相手に同意を示す際につい使ってしまうこの言葉、実は非常にカジュアルで、相手を評価しているような印象を与えます。
NG: 「なるほどですね」
OK: 「おっしゃる通りです」「左様でございますか」
「よろしかったでしょうか」の「た」
「ファミレス敬語」とも呼ばれる、過去形にする表現です。
NG: 「こちらの内容でよろしかったでしょうか?」
OK: 「こちらの内容でよろしいでしょうか?」
⇒現在確認していることなので、過去形にする必要はありません。
「どちらにいたしますか?」の混同
NG: 「ご注文はどちらにいたしますか?」
OK: 「ご注文はどちらになさいますか?」
⇒「いたす」は謙譲語なので、相手の動作に使うのは間違いです。相手の動作には「なさる(尊敬語)」を使います。
「参考になりました」は上から目線?
NG: 「大変参考になりました」
OK: 「大変勉強になりました」
⇒「参考にする」は、自分の判断材料の一つにするという意味。目上の人の教えに対しては「勉強になった」と伝えるのが敬意の表現です。
「とんでもございません」の真実
慣習的OK: 「とんでもございません」
本来の正解: 「とんでもないことでございます」
【豆知識】
かつては「とんでもない」で一つの言葉なので「ない」だけを「ございません」に変えるのは間違いとされてきました。しかし、現在は一般的になりすぎて許容されています。より丁寧に振る舞いたいなら「とんでもないことでございます」を使いましょう。


